輪島塗・漆 器 の修 理
お椀から座卓まで
お手持ちの輪島塗・漆器を新しくよみがえらせます。
漆器の修理とは
- 輪島塗は傷がついたり、傷んだりしても、修理をして使い続けることが出来ます。
- 修理方法は、個々の修理により異なりますが、多くは、塗面を研ぎ落とし、傷んだところを直し、二辺地付け※注1より下地をし直し、中塗り等の工程を経て上塗りをして直す、ということをしています。
- つまり、製造工程をさかのぼってやりなおし、塗りなおして修理するのです。
- 輪島塗は、製造工程毎にしっかり作られているので、工程をさかのぼって、作り直すことが可能なのです。
※注1 頁末の『輪島塗製造工程 概略』の「二辺地付け」をご参照ください。
修理が必要な場合とは
- 漆器が割れた場合。⇒ 接合して修理が可能です。
- 傷がついて中の木の部分が見えている場合。⇒ 傷から中の木水や水分がしみ込んでさらに漆器を痛めますので、修理が必要です。
- 傷が木の部分に達していない場合でも、傷が小さいうちに直し、見栄えをよくするために修理をします。
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- 修理に出された漆器を輪島のことばで「なおしもん」といいます。
- 「なおしもん」は、もともと料亭や料理屋のためになされました。
- 料亭や料理屋では、お椀などの漆器を何度も使って傷むことがあり、消耗が激しいからです。直して使うことによって、新品を買い換えることもなく、経費が節約されました。
- 個人で日常に使用する場合、丁寧にお使いいただければ、輪島塗は一生使うことの出来る漆器です。
- 個人での使用の場合、「消耗」というほどにはなりませんので、過って落としてひびが入ったり、キズがついた場合に直すことがほとんどです。
完全修理と部分修理
- 完全修理は、漆器全体の表面を研ぎ落として傷んだところを直し、全体を丸ごと塗りなおします。見た目は”新品同様”にはなります。
- 部分修理では、部分的に表面の漆を研ぎ落として修理して塗りなおします。塗りなおした箇所とそのままの箇所とでどうしても色目が異なり修理跡が残ります。目立たない箇所の小さなキズや亀裂などは部分修理致します。
- なお、修理して使えるからといって、何度も修理をして使い続けることができるというわけでもなく、修理は3回までと言われています。
- また、修理することで漆器が丈夫になるというものでもありません。
なおしもんで漆器をリフォーム?・・・こんなことが可能です。
- 修理して塗り直す際に、本朱だったモノを溜塗りにするなど、元の色とは別の色に塗りなおすことができます。
- キズのついた無地のお盆を塗りなおして、沈金で絵柄を入れることが出来ます。元のキズの跡が残ってしまう場合など、絵柄を入れることで、キズの跡を目立たなくさせることが出来ます。
- キズのついた座卓を乾漆仕上げにして、キズを目立たなくさせることも出来ます。
- 修理後にどのようにするかは、元通りの復元にとらわれず、多少の自由性があります。
輪島塗 製造工程概略
木地 ⇒ 木地固め ⇒ 木地磨き ⇒ 布着せ ⇒ 着せもの削り ⇒ 惣身付け ⇒ 惣身磨き ⇒ 一辺地付け ⇒ から研ぎ ⇒ 二辺地付け ⇒ 二辺地研ぎ ⇒ 三辺地付け ⇒ 地研ぎ中塗り ⇒ 中塗り研ぎ ⇒ 小中塗り ⇒ 小中塗り研ぎ ⇒ 拭き上げ ⇒ 上塗り ⇒ 完成