~ 天然木とプラスチックの違い ~
漆を塗る土台を器体といいます。お椀などの木の部分、”木地(きじ)”が器体です。
器体はもともと天然木でしたが、現在はプラスチックのものもあります。つまり、現在は天然木に漆を塗ったものとプラスチック等、天然木以外の器体に漆を塗ったものがあります。
”天然木”の器体とは、まさに自然の”木”を乾燥させて形成しています。
天然木以外の器体としては、”木乾”や”プラスチック”、”天然木加工品”などと表示されたものがありますが、いずれも合成樹脂に木の粉を混ぜたものやプラスチックです。
天然木は、比較的熱が伝わりにくいです。ですから天然木で出来たお椀の中の熱い吸物〈熱いモノ〉は冷めにくく、天然木で出来たカップの冷たいビール〈冷たいモノ〉は温く(ぬるく)なりにくいです。器を持っても、熱くて持てないことはなく、また、中の冷たいものを手ですぐに温めてしまうことはありません。
天然木は漆と相性がよく、(”くっつきがいいので”)漆を塗ると伸びがよく塗膜が強く剥がれにくく丈夫なものが出来ます。
”木乾”、”天然木加工品”という表示は、合成樹脂に木の粉を混ぜたものです。”天然木加工品”というと天然木を加工した印象を受けますが、天然木を加工したものではありません。器体の素材の表示は”天然木”となります。※なお、”木乾”という言葉を、”合成樹脂に木の粉を混ぜたもの”という意味とは別の意味に使っている(た)ケースもあるようです。
合成樹脂に木の粉を、混ぜた器体は、天然木よりも熱が伝わりやすく水に沈みます。指で弾くと硬い音がします。お椀の場合は、底が薄いものが多いです。
プラスチックは例えばメラミン樹脂というように、○○○○樹脂と表示されている場合です。器体は合成樹脂だけで出来ています。
ヒバと呼ばれるものには、北海道南部や本州北部に生育しているものと、本州中部以南に産するもものとの二つがあります。そのうち本州中部以南に産する方を、能登地方では古くから人工造林しており、档(アテ)とよんでいます。档は、石川県の県木になっています。
材質は緻密で細工しやすく、脂肪分が少なく水質によく耐えます。家具材、建具材、漆器に使われます。