輪島塗漆器は、海外(外国)で使えるかしら・・・

輪島塗を販売していて、以前、海外(外国)で使えるかどうか尋ねられたことがあります。

その際、一番気になることはいつも、使用される場所(国)の気候が”乾燥”しているかどうかです。

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従来、輪島塗は「堅牢で優美」と言われるように、確かに堅固で丈夫にできています。
漆は、基本的にはアルカリや酸にも強いです。
でも一番の弱みは、乾燥と紫外線。
直射日光の当たらない屋内で漆器を使うなど、漆器への”紫外線対策”は、使用方法で防げますので、
海外での使用で一番の悩みが”乾燥”ということになります。
乾燥地帯や砂漠地帯での使用は、まず NG となるでしょう。
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■ 「湿度何%なら使用可能なのか」というと答えがありません。
あえて言うなら、「日本と同じような気候、(日本と同じ位湿気のあるところ)でなら大丈夫なのでは」というのが無難な答えになります。
(もちろん、日本であっても、何年も使わずに天井に近い、乾燥した棚などにしまっていると、ヒビが入ることは充分あります・・・。あまり大事にしまい込まないで、使っている方が漆器は長持ちします。)
以前、海外で輪島塗を使えますかとお客様から質問を受けたときに、石川県工業試験場へ「輪島塗は、湿度何%くらいまで使えますか?」というような質問をしたことがあります。
答えは、「”輪島塗”と一言に言っても、手作り故に、できあっがった”輪島塗”もいろいろなので、(”これが標準の輪島塗”というものがないので)、”輪島塗”とひとくくりにしては、実験してデータを出せない」というような説明を受けました。
考えてみればその通りですね。どのような塗りの工程を経てできたかは、作られる工房や作り手によって異なり、工場で均一に生産されるものとは違って、厳密に言えば工房ごとや作り手ごとに強度=堅牢さが異なるということになりますね・・・。

■ 「輪島塗はヨーロッパでは持ちますか?」と尋ねられても、情けないことですが、やはり何とも答えられません。
「海外駐在に漆器を持って行ったら、バリバリになってしまった。海外には漆器を持ち出さない方がいい。」といった話を何度か聞いたことがあります。
漆器を持ち出した先の”海外”の気候によって漆器がバリバリになったのか、あるいは海外へ持ち出した漆器が多少の乾燥にも耐えられないものであったのか、どのように使われていたのかなど、やはりケースバイケースで考えざるを得ません。
大切にしている漆器の場合、やはり、海外に持ち出されないのが無難なのではないでしょうか。

■一方、大変興味深いことは、桃山時代以降に日本からヨーロッパへ渡った漆器で、今も、結構きれいな状態で存在しているものがあるという事実です。
2008年10月18日~12月7日に京都国立博物館で『japan 蒔絵』展が開催されていましたが、そこで目にした漆器、蒔絵が随分きれいだったこと!

▼ 『japan 蒔絵』展の図録の表紙

『japan 蒔絵』展 図録の表紙

もちろん、それらの漆器のうち、今では湿度などを調節して大切に保管されているものもあるのでしょう。

また、展示品の中には、修復後の蒔絵の漆器が、修復前の写真と一緒に展示されているものもあり、「やはりボロボロになるのもあるんだなぁ」と思わせるものもありました。

が、展示全体では、やはり、「持つものは持つのだなぁ」と感心した次第です。

特にイギリスのバーリーハウスコレクションの蒔絵漆器は、江戸時代中期の輸出漆器とされていますが、「こんなにもきれいに保存され得るものなのか」と驚くばかり・・・・。蒔絵の美しさ以上に、保存状態に驚いてしまいました。

▼ バーリーハウスコレクションの載っている図録のページ

『japan 蒔絵』展 図録のページ:バーリーハウスコレクションの箇所

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ということで、結局「海外での輪島塗漆器の使用」については結論がでないままですが m(_ _)m 、

上述の 『japan 蒔絵』展で見る限り、時代を超えて、蒔絵のついた漆器ががヨーロッパの人の目にたいそう魅力的であったことは否めません。

そして、すぐに”バリバリ”にならずに、机や壁に使われて、愛用されていた蒔絵の漆器があったのも事実のようです。

桃山時代以降の日本からの輸出漆器は、日本にある漆器(香道具など)がそのまま輸出されたケースもありますが、買い手であるヨーロッパの人のための特別注文も多かったようです。

もちろん、日本の蒔絵や漆器を手にできたのは王侯・貴族といった限られた人々だったのでしょうが・・・。

↓輪島塗の取り扱い注意は↓

輪島漆器の取り扱い詳細
輪島漆器の取り扱い詳細(ヤフー店)


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輪島塗の風景

投稿者: 輪島塗の風景

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